クリーニング店の撥水加工はどんなもの?自分で撥水加工はできる?
雨や水濡れ、食べこぼしなどから大切な衣類を守るためには、撥水加工(はっすいかこう)が有効です。
ここでは、クリーニング店の撥水加工がどんなものか、また、自分で撥水加工はできるのかについてご説明します。
布の撥水加工は自分でできる?防水加工との違いは生地の性質!
雨や雪などに濡れる機会の多いスキーウェア、レインコートなどで「撥水加工」の表記をよく見かけます。 衣類の布に自分で撥水加工をする方法や、防水加工との違いなどを解説していきましょう。
撥水加工は生地に水を弾く加工をしたもの
撥水加工というのは、簡単に言うと「水を弾く機能」を施すことです。
シリコン樹脂やフッ素樹脂などでコーティングをおこない、生地の表面に凹凸のある膜を生成します。
このコーティングにより、衣類に水が付着しても生地に浸透することはなく、水が玉状になって転がるため濡れにくくなるのです。
布目の隙間は塞がれていないので、空気や水蒸気が通り抜けできて蒸れにくいというメリットを持ちます。
その反面、多量の水がかかった場合には、生地に染み込む恐れがあります。
撥水加工と防水加工は生地の性質が違う
撥水加工は別名「通気性防水加工」と呼ばれるように、水を完全に通さない性質を持つものではありません。
対して、水を通さない機能を持つものが「防水加工」です。
防水とは塩化ビニルや合成ゴムなど、生地の素材自体に水を通さない機能を持つものを指します。
ビニール製のレインコートや長靴などに採用されています。
そして、水を通す素材であっても、生地の表面に合成樹脂やラミネートなどでコーティング(防水加工)することで防水機能を持たせることが可能です。
防水加工は別名「不通気性防水加工」と呼ばれ、通気性がなく空気や水蒸気を通さないため蒸れやすいというデメリットがあります。
撥水加工を自宅でするならスプレーやロウを使う
市販の「撥水スプレー」「撥水剤」と呼ばれる製品を用いれば、自宅でも衣類に撥水加工を施すことが可能です。
よく「防水スプレー」と書かれている製品も見かけますが、実際にはそのほとんどが防水機能を持っていないため、撥水加工と同じものだと考えて良いです。
ローソクのロウを布地に塗り、ドライヤーで乾かす「ロウ引き」という方法もあります。
布地にロウをなじませるという簡単な作業ですが、失敗すると生地を傷めたり色落ちしたりする可能性があるので注意が必要です。
クリーニング店の撥水加工って?撥水加工の生地は洗濯しても大丈夫?
撥水加工はDIYでも可能ですが、その機能は十分とは言い切れません。 ここからは、クリーニング店の撥水加工はどのような特徴があるのか、また、加工後の洗濯についてもご説明します。
クリーニング店の撥水加工は効果が高い
市販の撥水スプレーとクリーニング店の撥水加工の違いは、使用する撥水剤のフッ素分子の大きさにあります。
一般的にはクリーニング店の撥水加工の方が、市販の撥水スプレーに比べてフッ素分子が大きいです。
衣類の布地をコーティングする際、フッ素分子が大きければ大きいほど繊維の隙間に通りにくくなります。 従ってフッ素分子の大きいクリーニング店の撥水加工の方が、撥水効果は高い傾向にあるのです。
もちろん、撥水スプレーをかければ、何も加工していない状態よりは撥水効果が期待できます。
しかし、撥水機能の持続時間が短いため、衣類に水分が付着してしばらく経つと布地に染み込んでしまう可能性が高いでしょう。
一方、クリーニング店の撥水加工を施した衣類の場合、時間が経っても水が玉状を保つためシミになるリスクが低減されます。
ニットやセーターは撥水加工に向かない
ニットやセーターなど動物繊維でできている衣類は、撥水加工に向きません。
なぜなら、樹脂でコーティングすることによって繊維が硬化してしまうからです。
最近では、はじめから撥水機能を備えた素材でできているニットやセーターもあります。 雨や雪など水分の影響を受けたくない時に着用するのがおすすめです。
逆に撥水加工をした方が良い衣類として挙げられるのは、ダウンジャケットやコートなどです。
また、ビジネスで着用するスーツも撥水加工を施しておけば、外出先で雨が降ったりアクシデントが発生したりしても、水や汚れが目立ちにくくなります。
特に、梅雨の時期は天候が変わりやすいため、クリーニング店の撥水加工を受けておくと良いでしょう。
撥水加工をした後に洗濯すると効果が落ちる
クリーニング店で撥水加工をしてもらっても、その効果は永久的ではありません。
撥水加工がされた衣類を洗濯すると、水圧や摩擦などによって繊維と一緒にコーティングも剥がれ落ちていくからです。
洗剤に含まれる界面活性剤には、生地の表面を親水化(水に溶けやすく)する作用があります。
そのため、洗剤を入れて洗濯機で洗うと、撥水効果が落ちることは否めません。
とはいえ、衣類を洗濯しないと汗や汚れによる寿命低下につながります。
衣類のメンテナンスをきちんとおこないつつ、定期的に撥水加工をおこなうのが望ましいでしょう。
撥水加工をおこなう理想的な頻度は、着用回数や保管状況などによっても異なりますが、普段から着ているものの場合は1~2ヵ月に1回を目安にしてください。
ほとんど着用しないものであれば、1シーズンに1回程度の撥水加工で問題ありません。
まとめ
撥水加工と防水加工の違い、自宅で使用する撥水スプレーとクリーニング店の撥水加工との違いについて、お分かりいただけたでしょうか。
長く着用したい衣服や水濡れの機会が多い冬物のアウターに関しては、効果が高く持続性のあるクリーニング店での撥水加工をおすすめします。