スーツを自分で洗った際の失敗談
５４才、会社員です。以前、量販店で購入した安物のスーツを自宅で自分で洗って失敗してしまった際のエピソードです。
私は昔から普段着に関してはそれなりのこだわりがあるものの、仕事で着用するスーツに対してはあまり執着がなく、いつも量販店や大型スーパー内の衣料品コーナーで販売されている安いスーツを２～３着購入し、それを一定間隔で着回すということをしておりました。
クリーニング代節約のため自宅で洗濯。洗濯ネットに入れてれば大丈夫だと思った
ある日、そのうちの１着の汚れ具合があまりに気になったのでクリーニングに出そうとしたのですが、それがかなり安物のスーツであったことと、そんな安物のスーツにクリーニング代を出すのがもったいないという思いから、その１着を含めて当時着回していた３着の安物のスーツを自分で洗うことにしました。
洗うとなると何か特別な洗剤が必要なのだろうかと思いましたが、その時にあった液体洗剤と柔軟剤を手にして、使用上の注意なるものを読むに、たぶんこれだけで大丈夫だろうという結論に達しました。実はその時私はスーツの汚れを気にしつつも、それ以上に洗濯することによってスーツの型が崩れてしまうことの方が気になっていたので、別に洗剤を用意することよりも洗う際に使う網（ネット）を用意することの方を重要視したのです。
そういうわけで自宅にて自分で洗おうと決めるや否や、私はすぐに近くのホームセンターへと赴き、少々大きめの洗濯ネットを購入しました。値段は確か５００円ほどだったと記憶しています。「これさえあれば、これからスーツは自宅で洗える。それだけクリーニング代が浮くのだ。何とお得なことか！」と思いました。
ホームセンターから帰って来た私はすぐに３着のスーツの洗濯に取り掛かりました。
３着のスーツを折りたたんで買ってきた洗濯ネットに何とかねじ込み。それを全自動洗濯機に放り込むと、後はいつもの洗濯と同じように洗剤と柔軟剤を投入し、洗濯機の「お任せ」というボタンを押しました。
「ピー」という電子音がした後、洗濯が始まりましたので蓋を閉めて、後は洗濯機に任せました。「これでスーツ３着分のクリーニング代が浮いたから、その金で今夜は少しはましなものでも食うとするかな」と思いつつ、さて何を食べようかと考えながら洗濯が終わるのを待っておりました。
それから２０分もしないうちに、いきなり「ピッピッピー、ピッピッピー」という聞き慣れない電子音が洗濯機から発せられました。何だろうと思って洗濯機を見ると何やらエラーらしき表示がパネルに出ておりました。
しかしそれが何なのかよくわかりません。取説を見ればわかるのでしょうが、それをどこにしまったのか覚えておりませんでしたので詳細がわかりません。
洗濯機をあけると、なんとスーツの裏地がボロボロになっていた
どうしようかと少し考えたのですが、どうやら洗濯自体は終わっているように見えましたので、そのまま洗濯ネットを取り出して中からスーツを出そうとしました。すると、いくつもの小さな布切れのようなものがボロボロというかヒラヒラというか、洗濯物の奥の方から湧いてくるように出てくるではありませんか。
なんじゃこりゃ？ と思い、手に取ってみるとそれは確かに布切れのようなものでしたが、すぐにボロボロと崩れていって粉のようになっていきました。よく見ると洗い上がったと思われるスーツじゅうに、その布切れの破片のようなものがまとわりついておりました。
後でわかったことですが、その布切れのような破片は洗濯ネットに入れていた３着のスーツのうちの２着のスーツの裏地でした。どうやらあまりに安物のスーツであったからか裏地に使われていた布は、やはりかなり安物の化学繊維であったようで、それが経年劣化していて洗濯ネットに入れてはいたものの、全自動洗濯機で普通に洗われることに耐え切れず、ボロボロと崩れてしまったようです。
その２着のスーツは外側から見ると何も起こっていないように見えましたが、裏地がほぼ消滅してしまったので内側は一見しただけでボロボロになっているのがわかります。もちろん裏地がなくなってしまったことで、ひどい型崩れを起こしていました。ですが、それでも乾かせばまだ着られるかもしれないと考えた私は、それら２着のスーツにまとわりついている布切れの破片を取り除き、太めのハンガーにかけて室内干しにて乾かしました。
それを着用して鏡の前に立ちました。しかし鏡に映っていたのは何とも貧相な自分の姿。やはり裏地がなく型崩れしたスーツは着ている人間を更に貧相に見せてしまうようです。
残念ながら、この２着のスーツはゴミと化しました。クリーニング代が浮くと思ってしたことは、結局労力の無駄使いと新たにスーツを買わねばならないという余計な出費を呼び込んでしまっただけでした。
